東北大学 大学院工学研究科 附属災害制御研究センター
地域防災ゼミ 話題提供要旨 2004/07/06

プレート境界におけるアスペリティ・準静的すべり・地震予知



松澤 暢(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)


●話題提供要旨

 プレート境界型地震に関する我々の理解は,この5年間で急速に深まった.プ レート境界では「アスペリティ」と呼ばれる「普段は固着していて地震時に大き くすべる領域」が分布しており,そのまわりは普段から準静的にゆっくりとすべ っているとする「アスペリティ・モデル」で,多くの観測事実が説明できるよう になった.このモデルは,再来間隔に基づいて大地震の長期予測を行うことの妥 当性を示しており,さらに,準静的すべりをモニターすることにより,その長期 予測の信頼度を向上させることができることを示している.準静的すべりの加速 によって群発地震や大地震の発生が促進される場合もあることが判明しつつあり, 応用範囲は限定的でかつ確率論的予測に留まらざるを得ないが,プレート境界型 地震の短期予測も場所によってはある程度は可能になると考えられる.